SATOSHI OKADA
ARCHITECTS

Kläre main

Kläre

テーマは商業施設の空間デザインである。場所は東京の銀座。店舗は目抜通りに面したビルの7階にある。

クライアントは、以前SOAが本社ビルの設計を行った企業のオーナー(https://www.okada-archi.com/en/works/y_headquarters_building.html)。今回のミッションは、スカルプケアを専門とする新規ブランド「クレーレ(Kläre https://www.klare.jp/)」の立ち上げに伴う1号店のインテリアデザインであった。

空間デザインは、クリエイティブディレクション及びブランディングデザイン担当のSPREADとの協議のもと進められ、そこで練られた構想をもとに、SOAが空間計画から造作家具のデザイン、さらには機器類を収納する可動の小物デザインまで担当した。

空間の構成と特徴は次の通りである。
エレベータホールを抜けると、受付カウンターとパルダリウムが設置された小さなエントランスロビーに至る。
ショップのメインとなる施術室は3つあり、エントランスロビーからそれぞれの部屋へと至る。各々の空間にはそれぞれに個性的なデザインを施したが、緑色を基調とするスタッコ仕上の壁面、真鍮を使用した見切縁、チーク材を使用した造作家具はすべての部屋に共通している。

施工は水澤工務店が担当した。その高度に洗練された施工技術は業界一の定評を誇るが、今回の工事においてもデザインに対する比類なき感性や卓抜した技術が遺憾なく発揮された。SOAは2007年以降、水澤工務店とタグを組み、近年では毎年のように建築作品を実現させているが、ショップデザインの実現は新しいチャレンジであった。

今回の空間デザインで特筆すべきは、日本の伝統産業や手仕事をできるだけ多く活用するという岡田哲史の方針にあった。以下に代表して3例を紹介しておく。

ひとつは、金沢の重要な伝統産業のひとつである金箔を家具デザインに活用した受付カウンターである。岡田は400年以上前の歴史的古物のコレクターでもあるが、その視点から、かつて屏風絵で下地装飾として使用されていた金箔の模様に注目した。そしてその模様をカウンターの仕上げ材として全面に貼り回し、緑色を含ませたハードコーティング材で表面強度を高め耐久性が保証される家具とした。

ふたつめは、職人の手の跡をそこはかとなく魅せる壁面の漆喰仕上げである。ヒューマンスケールの比較的小さな空間で、ブランドイメージの原点である「Schwarzwald(黒い森)」の奥深さや瑞々しさを表現するためには、スタッコ・アンティーコと呼ばれる漆喰左官手法を応用することが最適と考えた。日本の繊細で洗練された左官職人のコテ捌きは、期待通り、人間の息遣いを感じさせる美しい模様が壁面そのものに奥行き感をもたらしてくれた。

そして最後は、エントランスホールでひときわ眼を引くパルダリウムである。その大自然をミニチュア化した生の壁面展示は、規模的にも内容的にも世界初を誇る。岡田自身、長年にわたりアクアリウムに関心を示し続けるなか、ADAのチーフデザイナー本間祐介氏の感性にはかねてから共感するところがあり、パルダリウムのデザインはそのすべてを託した。大自然のミニチュアとはいえ、瑞々しい環境のなかで日々成長し変化する日本固有の植生が、お客様の眼を和ませ、心にリフレッシュをもたらしてくれるものと期待している。

LOCATION
東京銀座
PROGRAM
HEADSPA SALON (Interior Design)
YEAR
2024
SIZE
114.10 sqm
CLIENT
Kläre
LEAD ARCHITECT
岡田哲史
TEAM
寺田達哉, 上池大樹, 富山理佐
COLLABORATORS
CONTRACTOR:
水澤工務店
MECHANICAL DESIGN:
テーテンス事務所
LIGHTING DESIGN:
コイズミ照明

CREATIVE DIRECTION / BRANDING:
SPREAD 小林弘和 山田春奈
PALUDARIUM:
ADA LAB - Aqua Design Amano Laboratory 本間裕介
PHOTO CREDITS:
神宮巨樹

To Page Top